おかしな二人
家族
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師走というだけあって、それから年明けまでは目まぐるしい毎日だった。
英嗣は朝から夜までぴっちり仕事で、家には眠るためにだけ帰ってくるような状態が続いていた。
食事もゆっくりと家で摂る事もなかったので、あたしはできるだけ栄養のバランスを考慮したお弁当を作って持たせていた。
あたしはあたしで、自分の分の食事だけを用意する毎日。
広い部屋でぽつりとダイニングテーブルに座り箸を進めながら、その時初めて一人で食べる食事が味気ないと感じた。
いつの間にか、英嗣と一緒に食べることが当たり前になっていたんだ。
凌からは、なんの音沙汰もない。
テレビに露出する仕事ではないから、映像として今現在の情報を得る事もできない。
一度だけコンビニにあったファッション雑誌を手に取り見てみたけれど、そこに写る凌は、海外をバックにいくつもの洋服を着こなしていて、今現在のものではない事が解る。
多分、以前欧州に行っていたと話していた時のものだろう。
長い手足に小さな顔。
同じモデルの女性と絡み合うように写るその姿を見て、あたしを好きな理由が本当にわからない、と思った。
その雑誌の女性モデルのように、目鼻立ちがはっきりしているわけでも、すらりとした身長や手足があるわけでも、スタイルよく洋服を着こなせるわけでもない。
そんなあたしに、どうして固執するのか。
いくら幼いころ一番身近な存在だったとはいえ、いつまでも今の凌があたしを想い続けているなんて、とても考えられない。
けれど、事実は事実で、人の気持ちはこれほどまでに不可解極まりないものなんだと思わせる。