おかしな二人
長いとは言ったけれど、気持ちの整理をつけるためには、半年なんて少しも長い事はないのかもしれない。
「親父の借金の件はさ、毎月ちゃんと明の口座に振り込むようマネージャーに頼んでおくから、心配しなくてもいいから」
「うん……。ありがと」
「あかり……」
「ん?」
「ごめんな……」
凌が目を伏せる。
あたしは、大きく首を横に振った。
そうして凌は、席を立つ。
釣られるように、あたしも立ち上がった。
エレベーターホールへと体を向け、自信なさげに凌が呟く。
「あかり」
「うん?」
「俺たち、これからも家族だよな……?」
「あたりまえじゃんっ」
自信のないその背中に向って、声を張った。
「家族に決まってるよ。一生、ずっと、唯一の家族だよ」
「ありがとう……」
振り返る凌が泣きそうな顔で微笑んだ。
それからボトムのポケットに手を入れ、あたしに小壜を差し出した。