おかしな二人


明け方、ドタンッ、バタンッという玄関の方からする物音にはっと目が覚める。

「な、なに……? 泥棒?」

音を立てないようにするりとベッドから抜け出し、部屋から出る。
足音を忍ばせてリビングに出ると、ガタンッとまたも音がした。
続けて、低くくぐもった唸り声も聞こえてくる。

ひいぃぃ!
だっ、誰よ!

ビクビクしながら何か武器になる物がないか、キョロキョロと辺りを探してみるけれど、そういった類の物は何もない。

英嗣の部屋へ行けば、ギターがあるな。

大それた事に、英嗣の大事にしているギターを武器にしようと忍び足で寝室へ足を向けた。

すると、しっ、しー! 静かにせいや! と小声で誰かを咎めるような声がした。
そのうちに、リビングのドアが開き、誰かを抱えるようにした英嗣が顔を出した。

「え、えいじっ?!」

驚きで声をかけると、向こうも驚いたらしく、目をまん丸にしている。



< 535 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop