おかしな二人


「哲は、黙ってそこで寝とれ」
「あかぁ~ん。もう、ほんまに、あかぁ~ん……」

英嗣の言葉に素直に従ったわけじゃないようだけど、酔いにやられてソファに沈み込み目をつぶる。

「大丈夫かな……」

心配げに見ていると、またも、ほっとけ。と冷たい一言。
けれど、その直ぐあとに寝室から毛布を持ち出し、哲さんへとかけてあげている。

やっぱり、優しいね。

あたしは、哲さんのためにお水と二日酔いの薬をテーブルに置いておいた。

「英嗣は、大丈夫?」
「おう。哲を連れてくるのに必死で、酔いも吹っ飛んだ」

不服そうに洩らす顔を見て、クスクスと笑う。

「寝っとったんやろ? すまんな、起こして」

あたしは、首を横に振る。
そのまま二人でリビングのテーブルへ向い、温かい紅茶を入れて席に着いた。


< 538 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop