おかしな二人
「哲は、黙ってそこで寝とれ」
「あかぁ~ん。もう、ほんまに、あかぁ~ん……」
英嗣の言葉に素直に従ったわけじゃないようだけど、酔いにやられてソファに沈み込み目をつぶる。
「大丈夫かな……」
心配げに見ていると、またも、ほっとけ。と冷たい一言。
けれど、その直ぐあとに寝室から毛布を持ち出し、哲さんへとかけてあげている。
やっぱり、優しいね。
あたしは、哲さんのためにお水と二日酔いの薬をテーブルに置いておいた。
「英嗣は、大丈夫?」
「おう。哲を連れてくるのに必死で、酔いも吹っ飛んだ」
不服そうに洩らす顔を見て、クスクスと笑う。
「寝っとったんやろ? すまんな、起こして」
あたしは、首を横に振る。
そのまま二人でリビングのテーブルへ向い、温かい紅茶を入れて席に着いた。