おかしな二人
翌朝というか、数時間後のお昼過ぎにやっと三人とも起床し、のんびりとしたお正月を迎えた。
テーブルに並べた御節には、あれだけ二日酔いで苦しげだった哲さんが一番箸を伸ばしている。
「哲。お前、食いすぎやんかっ!」
全部食べられてしまう事を恐れるように、英嗣が牽制している。
「ええやんっ。英嗣は、毎日こんなん美味いの食うとるんやろ? ちょっとくらい、俺にもわけいっ」
「ちょっとやないやんけっ!」
ガツガツと口に放り込む哲んさんと、それを必死に止める英嗣がおかしくて、あたしは声を上げて笑う。
こんなに賑やかで、楽しいお正月は初めてかもしれない。
「明も笑っとらんで、止めろや!」
こっちにまで怒る英嗣に、はいはい、なんてまた笑う。
「まだたくさんあるんだし、いいんじゃない?」
そう言って宥めると、それでも、あかんっ! と言い切る。
哲さんは、けーち! と零しながらも、楽しそうに笑っていた。