おかしな二人


三時過ぎ、ダラダラと御節を突いていると、そろそろ帰るわ、と哲さんが立ち上がった。

「もう少し、ゆっくりしていったらいいのに」

あたしが引き止めるような事を言うと、英嗣が横から、はよ帰れや、シッシッと手で追い払うようにしている。

「言われんでも、帰るて。なぁ、あかりちゃん」

哲さんは、満面の笑みであたしに同意を求める。
それがまた気に入らない様子で、英嗣がシッシッとまた手で払う。

「俺は、犬か!」
「犬のが、まだ可愛げあるっちゅーねん」

英嗣の皮肉にあたし苦笑い。

「ほなな。あっ! せや。大事な事言うとらんかったわ」

急に思い出したように、靴を履いた後哲さんが振り返る。

「あかりちゃん」
「はい?」

「明けまして、おめでとう」
「あっ。あけまして、おめでとうございます」

そうだった。
言われて初めて気がついた。


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