おかしな二人
グラスを持ったままのあたしの横を通り抜け、冷蔵庫を開けるとペットボトルの水を取り出し飲み始める。
あぁ。
水って、それか。
なんて、贅沢な。
浄水器までついてるんだから、水道水で充分じゃん。
そんな贅沢を当たり前にしている行動に、あたしのほうがムッと来てしまう。
世界には、濁った水でさえありがたがる人たちだって居るんだよ。
全く、どんだけリッチマンなんだ。
この、小ブルジョワめ!
チロリとそんな思考で水上さんを見ていたら、それ以上の視線で見返された。
「なんや?」
あたしのムッとした顔に向って、片眉をクイッと持ち上げる。
それでもめげずに、この、贅沢者めっ! なんて思ったわけだけれど、主従関係を考えてやめた。
ああ、呪わしいこの縦社会。