おかしな二人


「水上さーーんっ」

今度は、グイグイと体を揺らしてみた。

すると、揺らすあたしの手首をグイッと掴みベッドへ引っ張り込んだ。

えっ?!
えぇーーっ?!

「ちょっと、離してくださいよっ」

ジタバタともがいてみるものの、寝ているわりに強い力。
あたし、身動き取れません。

相手は、布団の中。
あたしは、布団の外。

互いの体の間に布団という壁があるけれど、まるで添い寝でもするように腕の中に組し抱かれている。

そして、またスヤスヤ。

おいっ!
なんなんだ、これはっ。
あたしは、抱き枕じゃないぞっ。
雇われている身とはいえ、さすがのあたしも切れるよっ。


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