おかしな二人
冷たい仕打ち
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待ち合わせに指定された、ホテルのラウンジ。
自分の服装とかち合わないこの場所に居ることが、なんだか酷く惨めに感じる。
安物の古びたコートが、まさに貧乏を纏っているようだ。
そんな思考を振り払い、窓際の席で足を組みながら、優雅にコーヒーを飲む人物の元へと小走りに近づいた。
依頼者は、三十五歳の商社に勤める男性。
サラサラの髪の毛に、いい具合に脂がのり始めた、一見すれば好青年的な顔をしている。
身長もすらりと高く、着ているスーツも悪くない。
腕時計に目をやれば、ちょっとやそっとじゃ買えそうもない代物だった。
金だけは、持ってんぞー。て感じか。
そんな事を考える裏の顔を隠しつつ、営業モード。