曖昧HONEY
龍ちゃんに言われたことは確かに胸に響いたけど、
私はその後も、同じことを繰り返した。
――その当時、
私の家庭事情は最悪で。
できれば家にいたくなかったから。
少し前から、私は夜の街に出歩くようになっていて。
同じような問題を抱えた仲間とつるむようになっていた。
居心地はよかったけど、みんなが毎日朝までつき合ってくれるわけじゃない。
そんなとき考えたのが、声をかけてきた男についていく…こと。
少し我慢すれば、朝まで“居場所”を確保できる。
葛藤の末、ようやく実行したその日。
龍ちゃんに会っちゃったわけだけど…
「ナオっ!」
その後も。
それを実行しようとする度に、なぜか龍ちゃんが現れて。
寸でのところで私を止めて、家まで強制連行。
ことごとく、私は邪魔をされ続けた。
そして、
それが何度か繰り返されたとき…
ついに、
龍ちゃんがキレた。
「何度言ってもわかんないようだから…教えてやるよ。」
「……?」
「好きでもない男に抱かれる、ってのがどういうことなのか。」