曖昧HONEY
「ましてや“新婚”だよ?何かが違う。…って言うか、これって根本的に間違ってるよね?」
甘い雰囲気はゼロ。
それどころか、親しい雰囲気もゼロ。
私に対する関心もゼロ。
これじゃ、ただの“同居”。
他人同士のルームシェア、だよ。
そりゃ、惚れた腫れたでこうなったわけじゃない。
龍ちゃんは私に「家族になってやる」って言っただけ。
“家族”って言うのは、確かに“夫婦”に限られたことじゃなくて、兄妹にも親子にも当てはまるよ?
でも…
だったら、“結婚”した意味は何?
この状況は何?
こんなんだったら、放っておいてくれたほうがよかったよ…
「…奈桜は、」
また泣きそうになっていた私は、琴子の声にハッとした。
…私の話、聞いてくれてたんだ?
「奈桜はどうしたいの?」
「え?」
「奈桜の望む“結婚生活”ってどういうもの?」
まっすぐに、私を見据える琴子。
「それは…」