曖昧HONEY
ホントの夫婦になる方法
「……やっぱり、なぁ」
フラフラと。
夜の街を歩きながら思う。
「わかってたはずなんだけど…やっぱりキツイや。」
あのまま、
黙って家を飛び出してきた私。
流れてくる涙を拭う気力もなく、こうして当てもなく彷徨っている。
帰る場所なんてなくて。
心配してくれる“家族”もいなくて…
あの頃と同じ。
…ううん。あの頃よりも、もっとひどい。
“好き”なんて気持ちが増えたせいで、
どこかで期待している自分がいるから。
“ひとりぼっち”を受け入れられないでいる。
「……っ」
夜とはいえ、ここは繁華街。
きらびやかなネオンのせいで、すれ違う人にひどい顔をさらしているに違いないけど…いいや。もう。
どうせ、誰も見てない。
気にしてない。
誰かの目に止まって声でもかけられたなら、むしろラッキーだ。
ついていけば、
1人じゃなくなるもん。
「……ちょっと、キミ!」