曖昧HONEY



「…へっ?」


教室の自分の席に着いて。

ふわぁっ…と、大きくひと欠伸したところで、後ろから聞こえてきた声。

振り返ってみれば…


「毎日、大変ね。」


文庫本片手に、にっこりと…でも意味深な笑顔を浮かべる琴子がいて。


「“毎晩”って言ったほうがいいかしら?」


明らかに楽しんでるのがわかる。

…まったく、もう。


「まぁ、でも仕方ないわよね。なんと言っても…」


“新婚”だものね、と。

小さく私に耳打ちしてから、彼女は隣の席に腰を下ろした。


「…なっ。」


慌てて立ち上がった私に、ふふっと余裕の笑みを浮かべる琴子は、私のたった1人の友達で。


この学校で唯一、私の“秘密”を知る人物、だ。



「……そんなんじゃないよ。」

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