曖昧HONEY
「…お前、バカ?」
並んで歩く帰り道。
龍ちゃんは私を見下ろしながら、呆れたようにため息をついた。
「その格好であんなとこうろついてたら、捕まえてくれって言ってるようなもんだろうが。」
……そう。
学校から帰ったまま、着替えもせずに出てきた私は制服姿。
ただでさえ、未成年NGな界隈で。
“名門校”の生徒がいたら、目立つのは当たり前。
声をかけられたと思ったら…警察官だよ。
「なんでそんなヘマするかなぁ?って言うか、なんでこんなとこにいるんだよ?」
「……」
「おい、聞いてんのか?」
黙ったまま。顔を上げない私を、
苛立ったように覗き込んでくる龍ちゃん。
「……なんで、
なんで、龍ちゃんが来るのよぉ…」
ようやく発した声は、明らかに涙声で。
誤魔化すために、私は続けた。
「こういうとき迎えに来るのは、普通…「俺、だろ?」
「え…」
「こういうときは、“家族”に連絡が来るんだから。」