曖昧HONEY
「お前に何かあったとき、1番最初に連絡が来るのは俺なんだよ。」
龍ちゃんは続ける。
「“結婚”してるんだから。当然だろ?」
「あ…」
「ったく。心配かけるなよ。何事かと思ったじゃん。」
はぁーっと。
またもや盛大なため息をついて、龍ちゃんは再び歩き出した。
私の一歩前を。
私に背を向けて。
……呆れてるんだ。
きっと面倒だと思ってる。
私なんかに同情して。
結婚して…
龍ちゃんは絶対に後悔してる。
だったら…
「……もう、いいよ。」
ここで終わりにしよう。
「もう、無理してつき合ってくれなくていいから…」
足を止めて、前を歩く龍ちゃんの背中に向かって呟いた。
「はっ?お前、何泣いて…」
振り返った龍ちゃんは、街灯に照らされた私の涙に驚いてるけど…
「私はもういいよ。大丈夫。1人で頑張って生きていくから。」
声が震えようが、鼻水が出ようが気にするもんか。
どうせ、龍ちゃんは私のこと何とも思ってないんだ。
「“離婚”しよう?」