曖昧HONEY
「はぁっ?」
私の言葉を聞くなり、目を丸くして。
一瞬だけぽかーんとしたものの、龍ちゃんはすぐに私のほうに近づいてきた。
「急にどうした?誰かに何か言われたのか?」
「急じゃないもん。ずっと思ってたことだもん。それに…龍ちゃんが言ったんでしょ?」
「は?」
「“形だけ”だって。」
…あ、間違えた。
正確には、龍ちゃんの友達が言ったんだ。
こうなったら、もう別にどっちだっていいけど。
「この結婚は“形だけ”なんでしょ?“つなぎ”なんでしょ?」
「ナオ…」
「“愛情”のカケラもない私には、手を出す気にもならないんでしょ?」
「…っ、お前、まさか聞いて…」
焦ったように口元を押さえる龍ちゃん。
……やっぱり、あれが本音なんだね?
もう、どうにでもなれ!
「だから、もういいの。
どうせ…“好き”なのは、私だけなんだからっ!」
……言っちゃったよ。
あー、もう。
「え…?」
ほら、龍ちゃん困ってるし。
どうしよう??
いたたまれなくなって、
ぎゅっと目を閉じた…とき。
「お前って、俺のこと“好き”だったの?」
信じられないような言葉が聞こえた。