曖昧HONEY



「だから、お前には手を出さなかったんだよ。」

「え…?」

「お前の気持ちが伴うまでは、まだ“夫婦”にはなれないと思ったから。」


それって…


「そりゃ、確かに“結婚”は勢いだったし?最初は“形だけ”だったよ?でもさ…」


まっすぐに私の瞳を捉えたかと思うと、ふいに手を伸ばして。

龍ちゃんの指先が、私の頬に触れた。


ドキッと言うより、ビクッとなる。


何?この感覚…



「人って、案外単純なもんでさ。“形”を整えると、自ずと“気持ち”もついてくるんだよな」

「龍…ちゃん?」

「少なくとも、俺は、ね。まぁ…もともとあった想いが復活した、ってだけなんだけどさ。」

「え…?」



意味わかんない。

流れが掴めない。

何より、この状況を理解できない。


龍ちゃん、なんかキャラ変わってない?



「だから、お前が俺を“好き”だって言うなら、もう何も問題はないはずなんだ。」



にっこり笑って、ゆっくり近づいてくる龍ちゃんの顔。

え?えっ?え――っ?!



「ちょっ…ちょっと待って!」


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