曖昧HONEY
「い…今っ…」
龍ちゃんの顔が近づいてきて…
一瞬だけ、触れた唇。
それは紛れもなく、私たちにとって“最初のキス”になるわけで…
「な…なんでっ?今…こ…こんな…」
慌てて口元を押さえて、混乱状態のまま龍ちゃんを見上げれば、
「…え?だって、もう手ぇ出してもいいだろ?状況的に自然な流れだし。」
しれっと。当然のように言い放った。
「そ…そりゃ、そうだけど…でも…って?ちょっ…」
再び、近づいてくる顔。
「……っ」
私には、それを拒否する術も理由もなくて…
さっきよりも長くて甘いキスを
“喜んで”受け入れた。
「…よし。帰るぞ。」
何度目かのキスの後。
あっさりと私を解放して、手を引いて歩き始めた龍ちゃん。
「えっ?ちょっ…」
ボーッとする頭のまま、慌てて追いかける私を振り返ると…
「覚悟しろよ?」
意地悪な笑みを浮かべた。
「こんなもんじゃ終わんないから。」
「へっ?」
「なんせ“新婚”だから。これからはちゃんと“夫婦”らしいことしていくから。」
「……っ!」
私たちは今日から、
本当の“夫婦”になる――
*End*