曖昧HONEY
「おっ!今日もまた寝不足っすか?」
席に着いてひと欠伸したところで、うしろから肩を叩かれた。
振り返ってみれば…
「さすが“新婚さん”!夏が過ぎても、まだまだお熱いことで。」
にやにやと、いやらしい笑顔を浮かべるオサム。
初等部からのつき合いのコイツは、俺の事情を知ってる数少ない友達のひとり。
いつもこうやってからかってくるから、正直うんざりなんだけど…
「あんなに可愛い“奥様”を前にしたら、寝てる場合じゃないもんなぁ。」
…言ってることが当たってるもんだから、反論はできない。
「いいよなー。女子高生だもんなぁ。本当だったら“犯罪”もんだぞ?」
「……!」
「なんたって“未成年”だからな。しかも16歳!結婚してなかったら、訴えられても文句は言えない。」
さらっと。無邪気に言ってるけど…
オサムの手にある“法学”のテキストが妙に現実感を帯びてるって言うか…
いや、それが次の講義なんだけど…
「しかも、向こうは“初めて”だったんだろ?普通に考えたら、お前があの子の“最初で最後の男”になるんだぞ?」