曖昧HONEY



「おっ!今日もまた寝不足っすか?」


席に着いてひと欠伸したところで、うしろから肩を叩かれた。

振り返ってみれば…


「さすが“新婚さん”!夏が過ぎても、まだまだお熱いことで。」


にやにやと、いやらしい笑顔を浮かべるオサム。


初等部からのつき合いのコイツは、俺の事情を知ってる数少ない友達のひとり。

いつもこうやってからかってくるから、正直うんざりなんだけど…



「あんなに可愛い“奥様”を前にしたら、寝てる場合じゃないもんなぁ。」



…言ってることが当たってるもんだから、反論はできない。



「いいよなー。女子高生だもんなぁ。本当だったら“犯罪”もんだぞ?」

「……!」

「なんたって“未成年”だからな。しかも16歳!結婚してなかったら、訴えられても文句は言えない。」


さらっと。無邪気に言ってるけど…

オサムの手にある“法学”のテキストが妙に現実感を帯びてるって言うか…

いや、それが次の講義なんだけど…



「しかも、向こうは“初めて”だったんだろ?普通に考えたら、お前があの子の“最初で最後の男”になるんだぞ?」


< 44 / 50 >

この作品をシェア

pagetop