曖昧HONEY
鍵を取り出したところで、内側から勝手に開いたドア。
我が家の玄関。
そこにエプロン姿で立っている“新妻”。
満面の笑みで、俺の荷物を奪い取ったかと思えば、
「ご飯にする?お風呂にする?それとも…」
どこかで聞いたような言い回しと、誘うような視線。
そのミニスカートと言い、不自然な開き具合の服と言い、明らかに…
「…風呂。」
くるっと、身体ごと視線をそらして。
俺は風呂場へ直行。
「え?ちょっと龍ちゃ…」
期待外れの回答に、一瞬だけひるんだみたいだけど…
「わかった。じゃあ、一緒に入ろう?」
敵はそんなに甘くない。
持っていたカバンを放り出して、俺の腕に絡みついてきた。
…ちっ。
「背中、流してあげる」
「…結構です。」
「じゃあ、流してくれる?」
「はっ?」
「お風呂って声響くから、妙に興奮するよね?」
……コイツ。
なんで、こんなハレンチな娘になってしまったんだろうか?
俺の、せい?