曖昧HONEY




















「…あれ?」



マンションに帰って。

鍵を開けて。

玄関に入って、真っ先に目に飛び込んできた靴。



「帰ってるの?」



いつもなら、この時間に家にいたりしないのに。

不思議に思いながらも、やっぱり嬉しくて。

靴を脱ぎ捨てて、急いで部屋に駆け込んだ。


「龍ちゃん!」


真っ先にリビングに飛び込んだものの…


「…いない?あ、そっか、部屋か。」


行き先変更。


「ただいまっ!」


龍ちゃんのお部屋。

ノックも忘れて、勢いよく開けてみたものの…


「…ここも違う。」


おかしいな…

私の部屋…なわけないよね。

2LDKのマンション。

たいして広いわけでもないこの家で、他にいるとしたら…

そっか、トイレ!


「龍ちゃ…うわっ!」


トイレ…とバスルームに続く洗面所のドア。

手をかけたところで、内側から開いて…


「…お前、何してんの?」


思わず後ろによろけた私に降ってきた冷ややかな声。


……ようやく発見。



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