曖昧HONEY



「…シャワー、だったの?」


濡れた髪をタオルで拭きながら、バスルームから出てきた龍ちゃん。

上半身は裸だし。
ポタポタと流れ落ちる水滴と言い…無駄に“色気”を大放出、だ。

本人は無意識なんだろうけど、私の目には毒。


だって、

嫌でも“男”を意識してしまうから。



触りたいとか、
触ってほしいとか…

ドキドキが加速して、
変な気持ちになってくる。

…一度も、触れたことなんてないのに。



「今日は早いんだね?」


なるべく視線をそらしつつも、リビングに移動する背中を追い掛けた。


「え…ああ。これからまた出掛けるから。」


冷蔵庫から水を取り出しながら、素っ気なく答える龍ちゃん。


「えっ?どこにっ??」


慌てて詰め寄ったものの、


「バイト。」



あっさりと返されてしまった。

……そんなぁ。



「じゃあ、夕飯は?」

「いらない。」

「帰りは?」

「んー…深夜?」

「じゃあ、私待って「ナオ、」


< 7 / 50 >

この作品をシェア

pagetop