DL♥ロマンティックに抱きしめて。
”もうすぐ終わる”そう告げた先生の言葉に”それならあの名前は違う人かも”なんて変な期待感が芽生え、ガチャと鍵のかかった扉を背にした私は、元の席に戻り必死に不安を押し殺した。
…けれど。
『…蒼井くみさん、だね?』
聞きなれない男性の声。
いつの間に泣いていたのか歪む視界のまま顔を上げると、目の前には白髪頭の優しそうな男性が一人。
―…でも、どうしてだろう。
優しそうな顔なのに何処か苦しそうな、そんな感じ。
『私はココの責任者でこういう者です。』
すっと出された名刺。
でも、それを見る余裕なんて私には無くて。
片手で受け取り、そのまま顔を上げる。
…お母さんは?