DL♥ロマンティックに抱きしめて。

~蒲生side【過去】~

~蒲生side【過去】~

*

薄暗い室内。
ついてる明かりといえば目の前にあるテーブルライトのみ。

そろそろ、実習生は帰った頃だろうか。

関係者以外立ち入り禁止のこの部屋を幾度となく嫌ってきた俺が、今になってこうして毎日のように缶詰状態になっている事がアホらしい。

山積みにされた本。

開いたままのファイル。

そのどれよりも目を通したであろう、手元の資料。


―…当時の彼女。


そして先日見た彼女の笑顔が重なっては消えていく。




―――俺は


あの日、奴が朝方まで飲んでいるのを知っていたんだ。

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