DL♥ロマンティックに抱きしめて。

患者がいないからって職場で何話してんだコイツら。

苛立つ気持ちを抑え、手元の資料を奴に渡そうとした時。


『あの!佐藤先生、明日の蒼井…

『あ~。急いでるから。また今度な。それ、明日目通すから。じゃ!』


俺の言葉をさえぎり、めんどくさそうな目を向ける。

そして、背を向けたかと思うと、目の前のエレベーターのドアが閉まった。


『チッ…あのクソ野郎が。』


俺は舌打ちをし、手元にあったデータを奴の机のど真ん中に置き、”必ず確認してください”とメモを残した。





――あの時。






あの時俺が、



無理にでも奴を止めていれば。

確認させていれば。






あんな事がおきなかったのだろうか。





……ピピピピピピピ~♪

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