DL♥ロマンティックに抱きしめて。

見上げれば、独特な雰囲気をかもし出し、ムード漂う建物。
光るネオンに彼のイメージがマッチして、変に緊張を覚えてしまう。

戸惑う私の姿に、桐谷先生がクスクス笑い出した。


「え?車の中でいいの?…そんなに俺と密着したい?」

「そ、そんなっ!!!」

「ふふふ。本当にくみちゃんは可愛いね。ほら、行くよ。」

「あっ!」


グイッと強引な力で腕を掴まれ、落ち着かない気持ちのまま強制的にそのドアを進めば、


「いらっしゃい~。」


カランカランという音と共に耳に届いたのは桐谷先生よりももう少し低い声。
手元にはピカピカに輝くグラスを持ち、やさしい表情で微笑んでいる一人の男性が目に入る。


「お好きな席へどうぞ。」


その言葉に「どーも~」と軽く返事をした桐谷先生は、奥へ奥へと足を進めた。


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