DL♥ロマンティックに抱きしめて。
奴の胸に顔をうずめ、動く気配が無い。
そこにある”彼女の姿”を確認した安心感が先か、奴に対するこみ上げて来る怒りが先か。
俺はゆっくり、その存在に近づいた。
「…遅いですね。お待ちしてましたよ。」
そんな間抜けな声が終わるより先に、俺は奴の胸元にある彼女を半ば強引に奪っていた。
相当酔っているのか足元がふらつく彼女が崩れ落ちないよう、腰に手を回す。
胸に沈む彼女の顔が上を向くのを感じたが、それよりも先に奴の意図を確かめるのが先だと判断した俺は、言葉を発した。
「…桐谷。どういうことだ?」