DL♥ロマンティックに抱きしめて。
♯9 先生の素
*
―――その後。
「家の方に連絡しなくていいの?」
その心配そうな声に
「…私、一人暮らしですよ?」
と伝えると、一瞬驚く顔を見せた先生は、「…なら急いで帰らなくていいって事だな」なんて優しく微笑んで見せた。
実習の時とはだいぶ印象の変わる目の前の彼。
優しいのにはもちろん変わりないのだけれど…何かが違う。
それが何なのかが、今の私にはすぐには分からなくて。
けれども、高ぶる感情は一向に消えそうに無い。
私の内に引っかかっている”ソレ”を、数時間後、あんなにも知る羽目になるなんて…。
ふと時計を見ると時刻は午後6時。
ぐぅ~…
ゆったりとした時間の中、空気を読まない私のお腹が部屋中に鳴り響いた。