DL♥ロマンティックに抱きしめて。

あれから、5年。


数日前に久しぶりに再開した彼女は、すっかり大人の女性になっていた。

きっとあの頃は、中学生ぐらいで”女性”というよりは”女の子”なイメージが強かった。

罪悪感を感じながら過ごした5年間。
まさか、彼女が歯科衛生士を目指しているなんて夢にも思わなかった俺は、実習生名簿を見た日、何度もただの同姓同名な人物ではないかと、自分に言い聞かせた。

”彼女”であってほしいという気持ちと、そうであってほしくないという気持ち。

その狭間で悩んだ数日を今では、笑い話として受け止められるのは目の前の愛しい姿があるから。


先程、”お料理が出来ない”と注意されて大人しくソファに戻った俺は、歯科の参考書を読もうと努力してみた。

が…。

生憎、今の頭の中は彼女以外一切受け付けないみたいだ。
仕方なく、参考書に再度シオリを挟み、閉じる。

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