DL♥ロマンティックに抱きしめて。
「た、高そうな車ですね!」
本当に聞きたい事はそんな事じゃないのに。
何とも言えないこの空気を変えたくて、そんな言葉を口走る。
「…そう?」
「う…うんっ!シートも座り心地抜群だし、色んな所がピカピカっ!」
「…普通じゃない?」
せ…せんせぇ!
さっきからコノ調子。
ついに返事が来なくなり、更に募る不安の中、目の前の綺麗な景色が迫っては視界から消えていった。
さっきの悪戯っ子のような笑顔とは間逆で、今の先生の顔は何を考えているのか真剣そのもの。
ジッと前だけ見つめるその横顔に、カッコいいと感じる余裕は今の私にはあるわけなくて。
もう素直に黙っていよう。と心に決め、俯くと…
「…ごめん。」