DL♥ロマンティックに抱きしめて。
♯12  闇の中へ

*

先生の仕事用の携帯が鳴り響き、ビクッと体が反応した。
と同時にふわっと頭に感じる温もり。


「ちょっと待っててな。」


そう優しく笑いかけた先生は、電話を出るために部屋を出た。

カツカツカツと他のお客さんのヒールの音も聞こえてくる。



私も、たまにはヒールはいてみようかな…。


そしたら大人っぽくなれるかもしれない。


先生、喜んでくれるかな…?


込上げる期待感から、自然と頬が上がる。
思わず両手を頬に当てた、その時。




チャララララ~♪



急に鳴り響いた聞きなれた着信音。
それは、私の携帯の方で。

確認する前に切れてしまったそれに目を向ければ、
画面に表示されているその名前に一瞬言葉を失った。



”桐谷先生”




--え…?!

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