DL♥ロマンティックに抱きしめて。
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目の前の信号が赤に変わるのを確認し、徐々にスピードを弱め、停止する。
助手席に乗る姿に目を向ければ、ずっと外を眺めたままのくみ。
その頬には、もう涙は流れてはいないものの、表情は暗い。
きっと…いや、間違いなく、何かあったに違いない。
奴が彼女に対し何をしたのか…大体想像はつく。
未だに奴の狙いが何なのかは分からないが、きっといつかはこうなるだろうと何処かで予想はしていたんだ。
5年前のあの出来事。
いずれそれを彼女に伝えなければいけないと思ってはいた。
けれど、それを話す事で、彼女が俺に対する気持ちが変わってしまうのを俺は恐れていたんだ。
自分の母親に起こったあの出来事に、俺が関係していると。
それを知った時の彼女を見るのが…怖かった。