DL♥ロマンティックに抱きしめて。
--けれど…。
こうなる前に、俺の口から彼女に話すべきだったのかもしれない。
俺はそっと口を開いた。
「ねぇ…くみ。」
「…ん?」
弱々しい声が車内に響く。
普段は通らない道へと車を進める。
そのまま連れて帰り、その不安を無くせるものならそうしたかったが。
明日からはまた実習が始まる。色々と準備もあるだろう。
そう考えた俺は、彼女の家の前で車を止めた。
「桐谷に…何を言われた?」
確信があったからこそ、それを彼女の口から聞こうと試みた。
けれどその言葉に対しての返事が返ってこない。
彼女が今何を考えどんな気持ちでソコにいるのか、知らなければいけないはずなのに。
こんなにも臆病になってしまう自分自身が憎くてたまらない。