DL♥ロマンティックに抱きしめて。

その後、今の実習先で知り合ったドクターに恋をして、昨日別れを告げた事を大まかにだが素直に話した。

…もちろん、”大学病院”という言葉を伏せて。



「…なるほど。あんたも大物狙うようになったわね~。」

「ちょっちょっと!大物って。」

「本当の事じゃない!医者なら大物よ!」



いたずらっ子のようにフフフと笑う声が優しく耳に届く。


--”歯科衛生士を目指したい。”

そうお母さんに告げた時、物凄く緊張したのを覚えている。

もちろん、その理由は”歯科医師と付き合えるかもしれないから”だとか”就職先に困らないから”だとか、そういった物では無くて。


お母さんが一度は本気で目指した職業。

そして、

お母さんの人生をも変えてしまったあの出来事を、きちんと自分で納得のいく形で”過去”として捉えたかったから。

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