DL♥ロマンティックに抱きしめて。
本音を言えば、お母さんを担当した歯科医師を知る為に、一般開業の歯科医院では無く、大学病院の口腔外科に将来勤めたいとも考えている。
…何か”過去”に繋がる手がかりが掴めるかもしれないって…。
--けれど。
その”手がかり”が
好きになった先生…かもしれないなんて…。
「けどね、くみ。」
耳に届いたその声に現実へ戻される。
「くみが誰を好きになったのかは知らないけれど、素直にならなきゃダメよ?」
「…え?」
「ソノ調子だと、まだその人の事思っているんでしょ?」
「…。」
その通り。
いくら先生の過去を想像しても、それが仮に真実と同じでも…やっぱり優しい笑顔を思い出してしまう。
「…5年前の事なら忘れなさい。」