DL♥ロマンティックに抱きしめて。
「寧ろ、奴と同じ環境には居たくなかったので助かりましたが。」そうクスクス笑い出す。
「けれど、あの出来事が起こった時、ソノ話を奴が俺にしてきたんです。
だから、貴方の名前も、”蒼井美里”の名前も知っていた。
そして、今回の実習生である”蒼井くみ”。
彼女がその方の娘という事もすぐに知る事が出来たんです。」
「…。」
「だからそれはもう驚きましたよ。貴方が自ら進んで彼女の担当になった事も、その後、彼女に対し恋愛感情を抱いた事も。」
「っ!」
胸倉を掴む手に力が入る。
「…始めは、一時的にも彼女の母親に対し負担をかける理由を作った貴方が、のうのうとその娘である彼女と関係を持つ事が気に入らなかったからですが。」
そう告げ、一瞬暗い顔を見せた奴は言葉を続けた。
「次第に気づいたんですよ。
俺が苛ついているのは、
それを根に持ちながらも隠し続け、
上辺だけの姿で彼女に接する貴方に対してって事が。」
「…。」