DL♥ロマンティックに抱きしめて。
奴の鋭い視線が俺を捕らえる。
過去を恐れ、上辺だけでくみに接していた…だと?
そんなつもりは、無い。
けれど、それを否定する事も、言い返すことも…出来ない俺。
手に込めた力が徐々に抜けていく。
こいつの言うとおり…上辺だけだったのか?
「…蒲生先生。」
そして、奴には似つかわしくない落着いた言葉が部屋に響いた。
「…貴方は”優秀な医者”だ。
だけど今の貴方は…
僕はいつか”自分に自信を持てない”貴方を、越えてみせる。」
言い終えたと同時にバシッと胸倉にある手を払い、立ちすくむ俺に背を向け「…それと。」と言葉を続けた。
「僕は、彼女に”5年前に先生が関係していたらどうする?それを知る勇気があるなら本人に聞いてみるといい”と伝えただけです。詳しい話は何もしていない。
後は…先生、貴方次第じゃ無いんですか?」
そう言って、扉の奥へと消えていった。