DL♥ロマンティックに抱きしめて。
―…一人の患者…。
その言葉に当てはまるであろう存在の笑顔が脳裏をよぎった。
そして。
「…蒼井美里さん。
…くみ。
…君のお母さんだ。」
!!!
その名前を覚悟していたはずなのに。
ドクンッと大きく脈打つ心臓。
お母さん…。
先生が経験したお母さんに関する過去…。
それを知るのが、どうしても”怖い”と感じてしまう。
彼の目が私を捉えるけれど、その真剣な瞳に、私の気持ちが知られてはいないだろうか。
「…くみ…。
…ごめん。けれど、君には知ってほしい事なんだ…。」
…せんせ…。
申し訳無さそうに俯く先生。
きっと先生も、母の事を私に伝える事が辛いはず。
”受け止める”という覚悟をもう一度思い出し、そっとテーブルの上に握り締めていた先生の手に触れた。
「…ごめんなさい。
…続けて、くれますか?」