DL♥ロマンティックに抱きしめて。

そこで、ハッとした。




――まさか…。



言い争いをしていた中の一人に、メガネをかけていたドクターがいた。
その人は、必死に患者であったお母さんの事を思っていたように感じたんだ。

先生は確か、お母さんの件でアシスタントについたって…。

それなら、あのドクターは…。




「…せんせ…?」




私のその声に、ゆっくりと顔を上げる先生。

悔しさを押し殺すような、凄く辛そうな表情が目に映った。

膝の上にある涙で濡れた手をそっと上げ、先生の手の上にそれをゆっくりと乗せる。
途端に、ピクッと小さく震えた大きな手。そして、どこか不安そうな瞳が私を見つめた。



「あの時…


メガネをかけていたあの人は…


先生…ですか…?」

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