DL♥ロマンティックに抱きしめて。

~蒲生side~

~蒲生side~

*

耳に入った弱々しい声。

その主を見るのが怖いと感じながらも、ゆっくりと視線を上げると、涙を頬に流し、驚いた表情をした彼女。


「…あの時…叫んでいたのは…せんせ…?」


その言葉が、初めて会ったあの日の事を示しているのだとすぐに気がついた。


奴に胸倉を掴まれ、怒鳴りあってる姿。


もう処置をしてしまった後なのに。

取り返しのつかない事をしてしまったのに。


抑えきれない感情を行動に出していた、あの日。


一番辛いのは…




患者本人と、


目の前の君なのに…。


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