DL♥ロマンティックに抱きしめて。
棘のある言葉を受け、目の前で大きくわざとらしいため息をつく彼を見上げると、クスッと先程の笑みを浮かべて。
「はいはい。分かってますよ。ただ挨拶しただけですって。…じゃあね、くみちゃん。またあとで。」
そう言って担当である生徒、私と同じ班のふぅちゃんの前で足を止めた。
きっとふぅちゃんの表情からして困っているのには間違いなくて、少し心配なのだけれど。
危険な雰囲気を回避できた事で、ホッと一安心したのも束の間。
心残りなのは、リサから貰った大切なクマのキーホルダーだ。
どこいっちゃったんだろう…。
再び感じる不安に、目をギュッと瞑る。
出来ることなら今すぐ探しにいきたい。
だけど、今は実習中だ。
そんな勝手な理由で行動できる程、自由なわけが無い。
まわりに気づかれないよう、小さくため息をつく。
そして、閉じていた瞼をゆっくりと開いた。
「…大丈夫?…桐谷先生が良かった?」