DL♥ロマンティックに抱きしめて。


「自分の弱さを桐谷の奴に気づかされるなんてね。
”優秀な医者”奴はそう言ってくれた。けれど、俺は、心理的部分までをも見透かした奴程、頼りになる医者はあまりいないと思うけどな。」


愛用のブラックコーヒーから立ち込める湯気を見つめて呟くその姿は、どこか嬉しい様なホッとした様子だ。

あまり仲の良く無さそうな二人だったけれど、この件で何かしら通じ合う物があったのかもしれない。

そう思うと、嬉しくなり自然と頬が上がるのを感じる。

リサに対しての桐谷先生の行動は未だに掴めない部分はあるけれど”…きっと大丈夫”そう感じずにいられなかったんだ。


…二人の恋も上手くいくといいな…。


何もかもストレートなリサに対して、何処か不思議な雰囲気を持つ桐谷先生。
その二人が幸せそうに寄り添う姿を想像すると、心が温かくなった。



「…ところで、さっきの電話は?」



先生の言葉にハッと我にかえる。


「あっ!」


そういえばっ!


この場所に来る前にかかってきた着信。
まだ周りに他の先生方もいる中、後でかけ直そうと思っていて、すっかり忘れていた。

急いで鞄から携帯を取り出し、着信の主を確認してみると。



「…お母さん?」

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