DL♥ロマンティックに抱きしめて。

~蒲生side~

~蒲生side~

*

そろそろ試験が始まった頃だろうか。

快晴という程の青空を目の前にしていても、一向に気持ちが落ち着かないのは、今日が国家試験当日だからだろう。
愛用のブラックコーヒーを何度口にしても、タバコをいくら吸っても、そればかりが脳裏をよぎる。


「はぁ~…。」


「…ちょっと。いくら何でも心配しすぎじゃない?」


その声に目を向ければ、同期である清盛栞(キヨモリ シオリ)が片手にお気に入りらしいピンク色のカップを持ち、腕組をしている姿があった。


「やるだけの事は協力してあげたんでしょ?学年1優秀だったアンタが教えたんだから大丈夫よ。もっと自身持たなきゃ彼女が可哀想だわ。」


「……んなの、分かってるよ。」


「…ふ~ん。なら、さっきから止まらないその溜息、何とかしなさいよ。聞いててコッチがストレス溜まっちゃう。」


こいつ…。


ズズズと音を立ててソレを飲む姿は、きっとそこら辺の男じゃ扱いにくい人種に違いない。
長年近くにいて、外見は整っているのにもったいないと何度思った事か。


「はぁ~…」

「…。」


無意識に出た俺の溜息に、ぴくっと動いた眉。
その後の文句言葉を避けるように、視線を窓の外へと戻した。




「あ!」

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