DL♥ロマンティックに抱きしめて。
「えっ!?わ、私?!」
「おう。」
一瞬にして戸惑う目の前の彼女の姿に、笑いが込上げる。
みるみるうちに赤く染まる顔。
おぼつかない視線に、何かあるなと確信を持った。
へ~…。こいつもそんな顔するのか。
思わず漏れる俺の笑い声に、キッと鋭い視線を向けるも、顔の火照りはおさまらないようだ。
「う、煩いわね。あんたに私の事なんて関係ないじゃない。」
「俺の事は聞いたくせに、勝手な奴。」
強い口調は変わらないものの、どこか恥ずかしそうな姿に、こいつも女なんだなとなんとも失礼な言葉が脳裏に浮かんだ。
…勿論、直接口に出すほど俺は馬鹿じゃない。
「まぁ、お前なら大丈夫だろ。」
「ちょ、ちょっと。どういう事よ?!」
身を乗り出しながら、そう叫ぶ姿にハハハッと声を上げて笑ってしまう。
「何かあったら、いつでも相談なるから。頑張れよっ!」
「…っ!?」
「さっさといきなさいよ!彼女が待っているんでしょっ!」そう普段の口調に戻った彼女に呆れつつも、らしい態度にホッと胸を撫で下ろす。
「はいはい。」
そして、フリフリと力なく手を振り、俺はその場を後にした。