DL♥ロマンティックに抱きしめて。
晴天の中、車内から出れば、見た目とは違う頬を掠める寒さ残る風。
一人、二人と次々に生徒が校舎から出てきており、試験が終わったのを知らせている。
車体に体を預けながらタバコに火をつけ、再度目を向ければ、それぞれの達成感をソノ表情に示し、数年前の自分自身と重ね懐かしく感じた。
…そういやぁ~俺も緊張したな。
自信はあったものの、その余裕が命取りになる事は、卒業していった先輩方の経験談を呆れる程聞かされて知っていた。
いくら学年で成績が上位だとしても、手先が器用であったとしても、所詮紙切れ一枚。
100ある質問をマークシートに塗り潰すだけのその作業は、例え全問正解だとしても1つのズレで努力の全てが無駄になる。
そんなミスをする奴がいるのか何て思っていたが、大きすぎる緊張感の中、実際それで落ちる奴も何人かいた。
だからこそ、くみには”確認は最低でも3回はしろ”と念入りに伝えたつもりだが…。
…大丈夫だろうか。
「…参ったな。」
自身の時よりも緊張している自分に自然と苦笑いが浮かぶ。
フーッと大きく息を吐き、雲一つ無い青空に向かって顔を上げた。
「俊也さぁ~~~~~んっ!」