DL♥ロマンティックに抱きしめて。
「ん?」
急に耳に届いたその声に、顔を向ければ友人のリサちゃんと歩きながら手を振る愛しい人。
「うわ~。さすが色男。車に寄り掛かってるだけで絵になるわ。」
「ちょっ!!リサっ!」
「…ちょっとくみ。何であんたが赤くなってるのよ。」
「えっ…!えっと…。」
「は~ん。まさか、あんたも同じ事考えてたんじゃないでしょ~ね?」
「…。」
「は~。はいはいはいはい。試験から開放されてすぐの惚気ぐらい許してあげるわ。」
「ハハハハ。」と響き渡るリサちゃんの声に、顔を赤らめるくみ。
会話の内容としては、大声で何言ってるんだと呆れてしまう他無いが、二人のやりきった表情に感じていた緊張が一気に消えるのが分かった。
「…二人ともお疲れ。」
目の前まで来た姿に声をかけ、そっとドアを開ける。
「ご褒美にご飯でも。」
そんな俺の言葉に、一瞬ポカーンとした二人だったが最初に口を発したのは友人のリサちゃん。
「きゃぁ~~!さすが色男っ!誘い方もスマート!」
ス…スマート?
キャーキャー騒ぐ彼女の横で、未だに俺を見たまま固まる存在。
目が合えば赤くなったまま俯く姿に、笑いがこみ上げるのを絶えながら、「予約してるから。」と先を急がせた。