DL♥ロマンティックに抱きしめて。
-----*
「くみぃ~、くみが買い弁って珍しいねっ。」
「あ…あ、うん。今日ちょっと寝坊しちゃって。」
次の日。
苦笑いと共にポリポリと頭をかく私に、目の前に座る存在がその顔をグイッと近づけた。
「だからかぁ!朝からボーっとしてるなぁって思ったよ。」
大きな瞳がまじまじと私を覗きこむ。
うっ。
やっぱりボーっとしちゃってたんだ…。
うっかり目覚ましをセットし直すのを忘れてしまい、前の実習先と同じ時間に起きてしまった。
ベットの側に置かれた時計を二度見して飛び起きた私は、勿論化粧をする余裕なんてあるわけなくて…。
「折角の童顔の可愛い顔が台無しだよ~。」
笑ながら私の背中をバシバシ叩くこの女性は、親友である森本リサ(モリモト リサ)。
美人率が多いこの学年の中でも断トツの美人さんだ。
背も高くてスラーっとしていて、童顔でチビな私とは大違い。
まぁ、見かけによらずサバサバしてる所が、彼女の良い所の一つでもあるんだけれど。
リサ…ちょっとは手加減してよ~…。
叩かれる振動に目の前がパチパチするのを必死に絶えた。
「そうそう、くみの最後の実習先って確か、大学病院だったよね。」
「うんうん。リサはもう、そこの実習終わってるよね?他の実習先との違い教えて。」
学校側で勝手に行われた”班決め”のせいで私は9班、リサは2班とバラバラの班になった事を残念に思ったりもしたけれど、こうやって情報交換が出来るのが凄く有難い。
そんな彼女が、私のお弁当の玉子焼きを一つつまみ上げ、もぐもぐしながら「ん~」と考えるような仕草をした後、ソレをゴックンと飲み、途端にとんでもない事を口にした。
「トキメキだらけってとこかな。」
――ほえ?
――ト……トキメキ?