DL♥ロマンティックに抱きしめて。
……ごめんなさい。山田さん。
途中で電話を切った事に罪悪感を感じながらも、急いで洗面所のある奥へと足を進めた。
エアコンを入れぬまま寝たせいか、少し汗もかいたようだ。気持ちが悪い。
シャワーを浴びようかとも考えたが、そんな時間はあるはず無く。
適当に顔を洗い、ネクタイを締め、椅子にかけたままだった白衣をひっ捕まえて俺は仮眠室を飛び出した。
職場である口腔外科まで続くこの無駄に長い通路。
おかげで、走るしか俺には選択肢が無くて。
余計に息苦しさを感じる中見つけた、目にとまった物。
…ん?
それを無視し、先を急ぐ事を優先すべきだったのかもしれない。
だけど、何故か見過ごす事が出来なかったんだ。
手にして見てみると、まだ真新しいクマのキーホルダー。
どうしてコレがこんなところに?