DL♥ロマンティックに抱きしめて。
煙草の先端の灰が徐々に増えていくのを目が捕らえているが、耳に届いた言葉に時が止まったように灰皿へと伸ばすはずの手が動きを止めた。
『って言っても、証拠はまだつかめてないですけどね~。そもそも、そんな事しなくても、今朝彼女と話して気づいたんすよ。コイツはすぐに”堕ちる”だろうって…
ガシッ!!
奴の言葉が終わるのが先か、俺の行動が先だったのか。
目の前の憎たらしい笑顔の下で、俺の手は奴の胸倉を力任せにひっ捕まえていた。
『…蒼井くみには手を出すな。』
”堕ちる”だと?
道具のように扱っていい程、彼女は軽い存在じゃない。
自分でも驚くほどの苛立ちを覚え、胸倉を掴んだ手に更に力が入る。
『…ククク』
『…何がおかしい。桐谷。』