DL♥ロマンティックに抱きしめて。
自分の現状を理解できているのか?
それとも、俺への脅しなのか?
『…初めて見たなぁ~。
蒲生先生の必死になるとこ。
どんな患者だろうが神様のように優しく冷静に対処する人が、たかが実習生1人にこんなにも我を忘れてしまうんっすか?
それに…。
”蒼井くみには”って、他の生徒には手出しても良いって言い方にしか聞こえませんが?』
『っ……!』
ガンッ!!!
胸倉を掴んでいた手を力任せに横へ放り投げ、ロッカーに奴がぶつかる。
『っつ~…。暴力反対っすよ。蒲生先生。』
その言葉に耳を貸すつもりも無く、俺は奴に背を向け、その場を後にした。
――どうしてだ。
どうして奴があの一件を知っている。
―…もし彼女の耳に入ったらどうなる。
消えうせぬ不安がこみ上げる中、この先起こる出来事を予想する事は俺には出来なかった。